更年期のうつ症状とうつ病は別?治療法は異なる?有効な漢方薬、サプリは?

更年期のうつ症状とうつ病は別?治療法は異なる?有効な漢方薬、サプリは?

更年期障害によるうつ症状とうつ病の違い

更年期にさしかかった女性で最近うつっぽいと悩んでいらっしゃる方、更年期によるうつ症状と、うつ病では原因や治療方法に違いがありますので、少し注意が必要です。

更年期の症状としてのうつは、閉経前後のタイミングで女性ホルモン(エストロゲン等)の分泌が減少し、自律神経のバランスが乱れることによって発症します。一方、うつ病の症状は、精神的ストレス等による自律神経の乱れが原因です。

閉経前後のタイミング(40~50代)はちょうど、様々な精神的ストレス(子供の独立、親族や身近な人の死、自分や家族の病気や介護、職場を退職する 等)がかかりやすい時期と重なります。また、母親としての役目が終わって寂しさが喪失感としてうつ状態に陥ることもあります。

更年期障害によるうつ症状と、うつ病は区別・判断が難しいところですが、女性ホルモンの乱れと精神的ストレスのどちらの方が原因として強いのかにより判断されることが一般的です。ただ、この判断によって治療法も異なってきますから、注意が必要です。

それぞれで異なる治療法と注意点

それぞれで異なる治療法と注意点

更年期障害によるうつ症状の場合、一般的にはホルモン補充療法(HRT)が行われます。更年期の閉経前後のタイミングで不足する女性ホルモン(エストロゲン等)を直接的に薬で補充するのがホルモン補充療法(HRT)です。種類としては、飲み薬、貼り薬、塗り薬 等があります。

ホルモン補充療法は効果に即効性がありますが、様々なリスクや副作用もありますので、必ず医師の診断の下に行う必要があります。

一方、うつ病と診断された場合は、抗うつ薬による治療になります。種類としては、SSRI(セロトニンの量を増やす)やSNRI(セロトニンとノルアドレナリンの量を増やす)等があります。また、症状にあわせて抗不安薬、睡眠導入薬、気分安定薬 等が使われることもあります。

(注)セロトニン:脳内で分泌される神経伝達物質(脳内ホルモン)で心身の安定や心の安らぎに関与する。別名 幸せホルモンとも呼ばれる。ノルアドレナリン:脳内で分泌される神経伝達物質(脳内ホルモン)で交感神経系に作用して心身の覚醒や興奮と集中力や判断力、身体能力を向上させる。ストレスに反応して分泌される。

抗うつ剤の副作用としては、吐き気、おう吐、下痢などがあります。また注意点としては、心に作用する薬を使う訳ですから服用を間違えると危険です。効果に即効性は期待出来ず少なくとも2週間~1か月はかかると言われていますので、主治医としっかりと相談して納得、信頼の上で取り組む必要があります。

有効な漢方薬

有効な漢方薬

ホルモン補充療法や抗うつ薬に抵抗がある方は、漢方薬による治療の方法もあります。

東洋医学での「うつ状態」は、身体を廻る「気」に問題があると考えらえています(気虚:エネルギーが不足した状態、気滞:エネルギーがうまく循環していない状態)から、更年期によるうつ症状とうつ病とで区別はありません。その人の気の状態等を診て、個々に判断されます。

一般的によく使われる漢方薬としては、

《香蘇散(こうそさん)》

軽いうつ症状への対応。胃腸虚弱、不安、不眠、食欲不振で抑うつ気分や不安感の強い場合に使用される。発汗作用、精神安定作用がある、

《柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)》

中度のうつ症状への対応。疲労倦怠感、動悸、不眠などの精神神経症状、口の渇きをともなう場合に使用される、

《甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)》

重症のうつ病への対応。疲れがひどく、精神的にも不安定、悲しみが強く、あくびがよく出る場合に用いられる、

等があります。

漢方薬は、その人の気の状態、体格やエネルギーバランスを診て処方を行いますから、症状が同じでも治療がすべて同一とは限りません。信頼できる治療院や先生にご相談されることによって、より効果的な漢方治療が可能になります。

ただ、ホルモン補充療法や抗うつ薬とは違って大きな副作用はありませんから、まずは少しづつ取り組んでみられても良いと思われます。

うつ症状のメカニズム(自律神経、脳内ホルモンと栄養の関係)

うつ症状のメカニズム

更年期障害によるうつ症状とうつ病、何れの場合も基本的な原因は自律神経の乱れです。つまり、更年期によるうつ症状の場合は、エストロゲンの減少⇒自律神経の乱れ、うつ病の場合は精神的ストレス⇒自律神経の乱れ、という流れです。

自律神経の重要な役割の一つにホルモンのコントロールがありますが、うつの症状が現れている場合は、自律神経の乱れが特に、脳内ホルモン(セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン 等)に悪影響を与えていると考えられます。様々な原因でこの脳内ホルモンに乱れが生じた時に、うつの症状となって現れます。

つまり、ホルモン補充療法であれ、抗うつ薬であれ、漢方薬による治療であれ、うつの症状を改善する為にはこの脳内ホルモンの乱れを正すことが必要です。

では、この脳内ホルモンの乱れはどうやったら正すことが出来るのか?

この脳内ホルモンですが、実は、たんぱく質(アミノ酸等)から生成されます。セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンや、眠りに欠かせないメラトニン等もすべて、原材料はたんぱく質です。これにビタミン、ミネラル等が作用して形成されますから、日ごろから良質なたんぱく質を摂ることは先ず重要になります。

良質なたんぱく質とは、必須アミノ酸(人間の体内で合成出来ない9つのアミノ酸:イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジン)を沢山含んだたんぱく質のことですが、豚肉、鶏肉、卵、チーズ、青魚等の動物性たんぱくの他、大豆はとっても有効な植物性たんぱく質です。

また、脳内ホルモンを生成するために、ビタミンB1、ナイアシン(ビタミンB3)、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビタミンC、鉄、カルシウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛 等のビタミン・ミネラルも必要ですが、大豆はこれらの多くも含まれているとっても優れた食材です。

うつ症状を改善する為には、まずは大前提として、脳内ホルモンの生成に必要な栄養成分をしっかりと摂ることは重要になります。

日頃の対策と有効なサプリメント

日頃の対策と有効なサプリメント

自律神経の乱れを整え、脳内ホルモンのバランスを調整する為に日頃から出来ることは、その他にも色々とあります。

自律神経は、活動期(主に昼)に交感神経が活発になり休息期(主に夜)に副交感神経が優位になることによって正常に働きますので、そのリズムに沿った生活スタイルを心がけることが大切です。

具体的に出来ることは、まずは夜は早めに床について朝は早めに起きること、しっかりと良い食事(栄養)を摂って暴飲暴食は避けること、適度な運動をすること、身体を冷やさないこと、ゆっくりとお風呂に入って体をリラックスさせること、夜よく眠ること・・・等々。

特に夜の睡眠はとっても大切です。仕事や食事、運動やお風呂等一日のスケジュールを、夜ぐっすりと眠ることを中心に据えて生活リズムを考えてみるとよいかも知れません。

また、ストレスを貯めこまないように工夫することも大切です。

加えて、うつ症状の改善に必要な栄養をしっかりと摂るという意味では、サプリメントも非常に有効です。脳内ホルモンの原材料となるたんぱく質の補給には、大豆イソフラボンが含まれているサプリメントは特に有効です。

また、漢方由来の田七人参にはサポニンという成分が豊富に含まれていて、自律神経を整える効果が大きいと言われています。